雇用契約ではなく請負契約とすることで消費税の相殺が可能に

こんにちは。
行政書士事務所ETHICA代表の古谷です。

本日は「請負契約にすることで消費税の相殺が可能」というお話をさせて頂きます。

雇用契約と請負契約の違い

「働いているんだから、雇われている=雇用契約じゃないの?」とお考えになる方も多いのではないでしょうか?

確かに、通常の(特に何も意識しないで経営している)場合、雇用契約となります。

しかし、実際には、雇用契約ではなく“請負契約”として従業員と契約しているケースも多くございます。

この点について解説していきますね。

雇用契約と請負契約を消費税という観点でまとめると以下のようになります。

  • 雇用契約(指揮命令下にある)→「給与」として支払う→消費税非課税
  • 請負契約(指揮命令下にない)→「報酬」として支払う→消費税課税

どちらも同じように役務提供の対価としてお金を支払うのですが、消費税についての扱いが異なります。

雇用契約の場合、給与額から社会保険料やら源泉徴収税が発生するため、キャストさんの実際の手取りを請負契約と等しくする場合、請負契約の場合よりも支払額は多くなります。

この観点から見ても、請負契約ができるのであればその方が良いというのは分かりますよね。

請負契約で支払った消費税は他の消費税と相殺できる

請負契約で消費税の相殺ができる

営業をするにあたって、お酒・グラス・インテリアなど様々な仕入れを行いますよね。

消費税は仕入れ金額の10%ですから、かなり大きな金額になります。

「なるべく納税額を抑えたいなぁ・・」と考えるはずです。

ここで、請負契約が優位に働いてくれます。

キャストさんとの契約を請負契約とした場合、仕入れの際に支払った消費税額とキャストさんに渡した消費税額を相殺することが可能です。

ざっくりとした例で説明します。

例えば、A社長が税別1,000万円分の仕入れをし、消費税として100万円お金を払います。

その後、請負契約のキャストさんに1,000万円の報酬とキャストさんが申告の際に納めるべき100万円を追加で支払います。

この時、仕入れの際の消費税100万円と、請負契約の報酬で上乗せした100万円を相殺することができます。

ですので、あとからA社長が納税時に納める税額は、100万円ー100万円=0円となります。

雇用契約の場合、給与は消費税がかかりませんので、このような相殺はできません。

請負契約をするなら書面での手続きが必要

ただし、先程も少し触れましたが、何も考えないでキャストさんに働いてもらうと、雇用契約とみなされます。

「○時から営業開始だから、○時には来なさい」「○○はしてもいい、✕✕はしてはいけない」など、お店で働く以上指示命令が発生しますので、客観的に見ると雇用契約とみなされてしまうのです。

そのため、請負契約をする時には、書面をしっかり作成するなど請負契約であることを示す必要があります。
意外と見落としがちな部分になりますのでご注意ください。

当事務所にご相談いただく経営者の方には、請負契約に精通している方のご紹介も含めて対応させていただきますので、お気軽にご相談下さい。

今回は以上といたします。